生活習慣病のほとんどは代謝疾患です。内分泌代謝内科の新患の多くに高コレステロール血症(脂質代謝異常)の方が来院されます。今回は当院で行っている高コレステロール血症(脂質代謝異常)の現場を再現してみます。

架空の症例 55歳女性 
健診で高コレステロール血症(LDLコレステロール180mg/dl)を指摘。結果に要医療と記載があるため受診。高血圧、糖尿病はない。母が高コレステロール血症で薬を飲んでいる。心筋梗塞の家族歴はない。

院長の説明
まず高コレステロール血症になる病気がないのかを確認しないと行けないのですが、多いのは甲状腺機能低下症です。ちょっと、甲状腺を触らせてもらってよいですか?甲状腺機能低下症の原因の大半が橋本病で触れば大概わかります。唾をごっくんと飲み込んでください。甲状腺の腫れはないですね。肝機能や筋肉の数字も高くないので甲状腺は問題ないと思いますね。
さて、本題ですが高コレステロール血症を放置しておくと動脈硬化が進んで心筋梗塞や脳梗塞がおこりやすくなります。心筋梗塞は最近、救急医療の進歩でほぼ元の生活に戻ることができますが脳梗塞は場所が悪ければ寝たきりになってしまいます。なので、脳梗塞を予防することは極めて重要です。LDLコレステロールは悪玉コレステロールといって下げておいた方が心筋梗塞や脳梗塞になりにくいことがわかっています。
治療方法なんですが食事運動療法が大事なんですが思ったほど効果が得られないことが多いです。薬を飲んだ方が確実に下がります。といっても「はい!では薬飲みます!」という人はほとんどいません。まず1か月ほど揚げ物、チーズ、バターなどの脂質を制限してみましょう。

以下のパターンが多いです(特に患者さんBパターン)

患者さんA
薬は嫌いなんです。まずは食事療法で頑張ってみます。それでもだめならまた考えます。

患者さんB
薬は一生飲まないといけないのですか?
院長
あくまで脳卒中の予防のためですから、脳卒中になって自分で生活できないようになってしまえば予防の必要はないかもしれません。私はピンピンコロリを目指した医療をご提供しているのでお亡くなりになる前の日まで元気に薬を飲んでいただけるのが理想と考えています。といってもすぐに内服する方は少ないです。最近、日本人(吹田市)の研究で10年以内にどのくらいの確率で心臓の病気になるかが推測できるアプリがあります。ちょっとやってみましょう。よかったらスマホで写真をとってご家族にも試しにやってみてください。 

こんな数字ですね。どうしますか?もしよかったら動脈硬化の程度を調べてみませんか?頸動脈をエコーで観察するのですが当院には天理よろづ相談所病院で20年以上エコーをされていた超ベテランの技師さんがおられるのできちんと検査をさせていただけますよ。
患者さんB
じゃあ、一度検査してもらって、それから決めてみます。

院長
頸動脈エコーでは左の総頚動脈-内頚動脈分岐部にプラークが認められます。血流異常はありませんので手術や血液をさらさらにする薬(抗血小板薬)の必要性はありません。しかしこれ以上動脈硬化が進まないように血圧、コレステロール、糖尿病の管理は必要ですね。あとは禁煙も。

患者さんB
結構、動脈硬化がすすんでいるんですね。薬飲んでみますわ。

院長
それでは明日から内服を開始しましょう。薬はロスバスタチン(DSEP)にします。この薬は第一三共の子会社、三共ウェルファ(DSEP)のお薬です。普通のジェネリックとは全く違ってオーソライズドジェネリック(AG)といってジェネリックなんですが先発品と全く同じ薬、すなわち先発品そのものです。なので安価でありますが安全性、副作用などもすべて報告された安心できる薬剤です。それでもコレステロールのお薬には肝障害や横紋筋融解症などの副作用がありますので来月、薬の効果も含め副作用の確認をさせていただきます。もし来月までに筋肉痛が起こるようでしたらいつでも受診してください。

 

以上が高コレステロール血症の初診患者さん、エコーを受けた患者さんに対するリアルな対応です。めっちゃしゃべりすぎであることに気づきました。どおりで声帯ポリープが悪化すると思いました。