二次性高血圧(Secondary Hypertension)は、明確な原因疾患が存在する高血圧であり、全高血圧患者の約5〜10%を占めます。一次性(本態性)高血圧とは異なり、原因疾患を治療することで高血圧が改善または根治する可能性があるため、特に若年者や薬剤抵抗性高血圧では見逃してはならない重要な病態です。
🔍【二次性高血圧の主な特徴】
高血圧の原因が特定可能。
治療可能(時に完治も可能)。
薬剤抵抗性、若年発症、急速な高血圧進行例では積極的に疑うべき。
✅【主な原因疾患と分類】
① 腎性高血圧(最も頻度が高い)
腎実質性高血圧:慢性腎炎、糖尿病性腎症、腎盂腎炎など。
腎血管性高血圧:腎動脈狭窄(動脈硬化、線維筋性異形成)。
② 内分泌性高血圧
原発性アルドステロン症(PA):アルドステロン過剰分泌。
クッシング症候群:副腎皮質ホルモン(コルチゾール)過剰。
褐色細胞腫:カテコールアミン過剰分泌。
甲状腺機能亢進/低下症:甲状腺ホルモン異常。
先端巨大症:成長ホルモン過剰。
③ 血管性高血圧
大動脈縮窄症(主に若年者)。
④ その他
睡眠時無呼吸症候群(OSA)
妊娠高血圧症候群
薬剤誘発性(NSAIDs、経口避妊薬、ステロイドなど)
🔬【診断のポイント】
★ 二次性高血圧を疑うべきケース
発症年齢が若い(30歳未満)
急激に血圧が悪化
多剤併用でも降圧困難(薬剤抵抗性高血圧)
臓器障害(心肥大・腎障害)が進行している
低カリウム血症、耐糖能異常、代謝異常の合併
発作性高血圧、夜間高血圧、不整脈の併発
📋【検査の流れ】
基本検査:血液検査(腎機能、電解質、内分泌マーカー)、尿検査、心電図、胸部X線。
スクリーニング検査:
腎超音波、腎動脈エコー、ホルモン測定(レニン、アルドステロン、カテコールアミン)。
負荷試験・画像検査:
腹部CT、副腎静脈サンプリング、ホルモン負荷試験、睡眠ポリグラフィー(OSAの評価)。
💊【治療方針】
原因疾患 | 治療内容 |
---|---|
腎血管性高血圧 | 血管形成術(ステント)、薬物療法 |
原発性アルドステロン症 | 副腎摘出術(片側)、ミネラルコルチコイド拮抗薬 |
クッシング症候群 | 副腎・下垂体腫瘍摘出 |
褐色細胞腫 | 手術で腫瘍摘出 |
大動脈縮窄 | 外科的修復、カテーテル治療 |
睡眠時無呼吸症候群 | CPAP療法、減量、生活習慣改善 |
薬剤性高血圧 | 原因薬剤の中止または変更 |
✅ まとめ
二次性高血圧は「早期診断で治療可能、場合によっては根治可能」な高血圧。
若年者や難治例での鑑別が特に重要。
各原因疾患に合わせた専門的な検査・治療が必要。