亜急性甲状腺炎(Subacute Thyroiditis)は、ウイルス感染後に甲状腺に炎症が生じる病気で、強い喉の痛みと発熱が特徴です。風邪や扁桃炎と見分けにくいことがありますが、典型的な症状がある場合は速やかに内分泌内科を受診することが重要です。
◆ 亜急性甲状腺炎の特徴的な症状
以下のような症状がある場合、亜急性甲状腺炎の可能性が考えられます。
主な症状 | 説明 |
---|---|
首(前頸部)の痛み | 片側に始まり、数日で反対側にも広がることがあります。痛みは触れると強くなり、飲み込んだり、首を動かしたりすると悪化します。 |
発熱 | 38℃以上の高熱が数日~1週間程度続くことがあり、風邪やインフルエンザと誤解されやすいです。 |
甲状腺の腫れ | 首の前側が腫れ、押さえると痛みがあり、違和感を感じることがあります。 |
動悸・だるさ・汗かき | 初期には甲状腺ホルモンが一時的に多くなり、甲状腺機能亢進の症状が出ることがあります。 |
倦怠感・疲れやすさ | 全身のだるさが強く、日常生活に支障をきたすこともあります。 |
◆ なぜ内分泌内科の受診が重要なのか?
● 見逃されやすい病気
亜急性甲状腺炎は風邪や扁桃炎、虫歯などと間違われて抗生物質を処方されるケースが多いですが、細菌性ではないため抗生物質は効きません。
痛み止めだけでは十分な効果が出ない場合もあり、適切な治療が遅れると長引いたり、強い痛みが続いたりします。
● 正確な診断に専門知識が必要
血液検査(甲状腺ホルモン、炎症マーカー)や甲状腺エコーなどの専門的な評価が必要です。
バセドウ病など他の甲状腺疾患との鑑別も重要で、内分泌専門医による判断が求められます。
● 適切な治療で早期回復が期待できる
軽症ならNSAIDs(消炎鎮痛薬)で改善することもありますが、痛みや発熱が強い場合はステロイド治療が効果的です。
放置すると、一過性の甲状腺機能低下に進むことがあり、注意が必要です。
◆ 受診の目安
次のような症状があれば、できるだけ早く内分泌内科を受診してください:
✅ 喉の奥(甲状腺)の強い痛みが数日以上続く
✅ 首の前側が腫れて押すと痛い
✅ 発熱とともに動悸やだるさがある
✅ 痛み止めや抗生物質が効かない
✅ 最近、風邪やウイルス感染にかかったあとから症状が始まった
◆ まとめ:受診を迷わないために
亜急性甲状腺炎は、「喉の奥が痛い+発熱+首の腫れ」という特徴的な症状があり、正しい治療で回復します。しかし、放置すると症状が長引いたり、甲状腺機能の変動で体調が不安定になったりするため、早期に内分泌内科を受診することが非常に大切です。