2型糖尿病では、**高血糖が長期間続くことで起こる「慢性合併症」の予防・早期発見・進行抑制が非常に重要です。当院ではでは、以下の「糖尿病三大合併症(神経障害・網膜症・腎症)」および「足病変」**に対して、定期的な検査がをおこなっています。
◆ 糖尿病性神経障害の検査
糖尿病で最も早く現れやすい合併症で、手足のしびれ、感覚異常、痛みが特徴です。
主な検査内容:
検査 | 内容 |
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問診 | しびれ・痛み・冷感・こむら返りなどの症状の有無を確認 |
振動覚検査(音叉検査) | 128Hz音叉で足の親指などに当てて、振動の感じ方を調べます |
圧覚検査(モノフィラメント) | 10gモノフィラメントで足裏に触れ、感覚の低下を評価します |
アキレス腱反射 | 腱を叩いて反応をみる簡便な反射テスト |
神経伝導速度検査(必要に応じて) | 精密検査。神経の信号の速さを電気で測定します(大学病院などで実施) |
✅ 年1回以上の評価が推奨されます。
◆ 糖尿病網膜症の検査(眼の合併症)
網膜の毛細血管が障害され、失明の原因にもなる重大な合併症です。
主な検査内容:
検査 | 内容 |
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眼底検査(散瞳あり・なし) | 瞳孔を広げて網膜を直接観察し、出血や浮腫の有無を確認 |
OCT(光干渉断層計) | 網膜のむくみ(黄斑浮腫)を詳細に画像化(眼科で実施) |
✅ 糖尿病と診断されたらすぐに眼科受診し、その後は年1回の眼底検査が原則です。
◆ 糖尿病腎症の検査(腎機能の評価)
糖尿病腎症は慢性腎臓病(CKD)を進行させ、人工透析の主な原因です。
主な検査内容:
検査 | 内容 |
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尿中アルブミン定量 | 微量アルブミン尿(30mg/gCr以上)で早期腎症を発見 |
尿蛋白定性 | 簡便なスクリーニング。+以上で精密検査へ |
eGFR(推算糸球体濾過量) | 血液検査から腎機能を評価 |
血清クレアチニン | 腎機能が低下すると上昇します |
✅ 年1回以上の検尿と血液検査が推奨されます。異常があれば頻回にフォロー。
◆ 足病変の検査(フットケア)
糖尿病では、神経障害・血流障害・感染への弱さが合わさって、足の潰瘍や壊疽(えそ)=切断リスクを高めます。
主な検査内容:
検査 | 内容 |
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足の視診・触診 | 傷、乾燥、タコ、水虫、色調、腫脹、変形の有無をチェック |
足の感覚検査 | 神経障害の有無を確認(音叉・モノフィラメント) |
足の血流検査(ABI) | 足の血圧と上腕の血圧を比較し、動脈硬化の程度を評価 |
足の温度測定 | 皮膚温度が左右で違う場合、炎症や循環障害のサインになる |
✅ 足の観察は毎回の診察時に行われることも多く、年1回は詳細評価が推奨されます。
◆ まとめ:合併症検査の頻度(目安)
検査対象 | 推奨頻度 |
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神経障害検査 | 年1回以上 |
網膜症検査(眼科) | 年1回以上(初診時に必ず受診) |
腎機能検査(尿・血液) | 年1回以上 |
足の視診・感覚検査 | 毎回 or 年1回以上 |